カラスの基本情報
- 烏,鴉
- 分類:鳥綱スズメ目カラス科カラス属
- 主な生息地:極寒地を除く世界中
- 平均寿命:最大約20年
- 体長:34cm~53cm
- 英語表記:Crow,Raven(ワタリガラス)
カラスは真っ黒な外見と知的で茶目っ気のある行動が特徴の鳥です。
ここでは「カラス」とひとくくりにしていますが、実際にはスズメ目カラス科カラス属は世界中に46種類存在しています。
日本で確認できるカラスは4種。主に見られるのはハシブトガラスとハシボソガラス、それと冬に渡ってくるミヤマガラスです。
ワタリガラスはいまのところ北海道にのみ飛来する冬鳥です。
彼らは都市部から田園地帯、山間部に至るまで広範囲に分布しており、非常に順応性が高いことで知られています。特に、都市部ではその数が多く、人間の生活に密接に関わっています。
人間との共存が見られる一方で、その賢さが時に脅威となることもあります。
カラスの特徴
カラスの見た目の特徴は、その黒い羽毛と鋭いクチバシや爪です。
これらに加えて、最大の特徴は非常に高い知能を持っているということです。
他の生物との知能比較
脳化指数(脳の重量÷体重の2/3乗)によって生物の賢さを比較することができます。
実際には個体差や脳化指数以外の要素も多々ありますので、あくまでも参考数値となります。
動物 | 脳化指数(EQ) |
---|---|
人間 | 7.4~7.8 |
バンドウイルカ | 5.3 |
チンパンジー | 2.2~2.5 |
カラス | 2.49 |
アカゲザル | 2.1 |
アフリカゾウ | 1.3 |
犬 | 1.2 |
猫 | 1.0 |
馬 | 0.9 |
羊 | 0.8 |
小型ネズミ | 0.5 |
大型ネズミ | 0.4 |
ウサギ | 0.4 |
データの出典:Wikipedia(英語)
カラスは道具を使ったり複雑な問題を解決したりする能力を持つことがわかっています。これらの能力は、カラスが環境に適応し、生き残るための重要な要素です。
また、カラスは社会的な動物であり、複雑なコミュニケーションと階層的な社会構造を持ちます。
彼らは群れで生活し行動を共にしています。
カラスの生態
カラスは雑食性であり、果物・昆虫・小動物・果実、さらには人間の残飯など幅広い食物を摂取します。
この食性の多様性は、カラスが様々な環境で生き残ることを可能にしています。
彼らは非常に社会的で、特に繁殖期には大きな群れを形成することがあります。
コミュニケーションは高度で、様々な鳴き声や身振りで情報を伝達します。これにより、群れ内での情報共有や警戒、さらには他の群れとの競争などが行われます。
繁殖と子育て
カラスの繁殖期は主に春で、この時期には巣作りから卵の孵化、育児までをペアで行います。
カラスの巣は木の枝や草を使って作られ、通常は木の高い場所に位置します。
雌は数個の卵を産み、孵化までの期間を温めます。
孵化後、雛は両親によって育てられます。若鳥は親鳥と共に群れにとどまることが多く、この期間に社会的学習が行われます。これには食物の探し方や危険の回避方法などが含まれます。
人里離れたところに巣作りすればいいのに。
光り物を好む
カラスが光るものを集める理由は、彼らの好奇心と遊び心に関連していると考えられています。
カラスは非常に賢く、新しいものや興味深いものに引き寄せられることが知られています。
光る物体、特に金属製のものは日光に反射して輝くため、カラスの注意を引くことがよくあります。
一部の研究では、カラスが光るものを巣の建築材料や配偶者を引き付けるための装飾品として使用することも示唆されています。
カラスの知能は4歳から6歳児並!
カラスが人の顔を覚えて特定することや、道具を使うことはよく知られています。
目的のために道具を作成することができるカラスもいます。
記憶力と判断能力
カラスが人の顔を覚える能力については、興味深い研究がいくつか行われています。カラスは非常に賢い鳥であり、その記憶力や学習能力は高く評価されています。主なポイントは以下の通りです
- 顔認識能力:カラスは個々の人間の顔を識別し、覚えることができます。これは彼らの生存戦略の一部であり、特に都市環境で重要です。
- 学習と記憶:カラスは経験から学び、特定の人間に対する以前の経験を覚えています。例えば、ある人間がカラスに優しくすると、そのカラスはその人を信頼するようになる可能性があります。
反対に、威嚇したり攻撃したりすると、カラスはその人を避けたり、警戒したりするようになります。 - 社会的伝達:カラスは他のカラスに対して、特定の人間に関する情報を伝えることができるとされています。つまり、一羽のカラスが特定の人間を敵と認識すれば、その情報は他のカラスにも伝わる可能性があります。
車にクルミを踏ませて割る
車の通る道路にクルミを置き、踏まれて割れたクルミの中身を食べています。
置くのではなく上から落とす時もありますが、タイミングを間違えて走行中の車の上に落とすこともあり、ちょっと迷惑です。
走ってる車の近くをウロウロするから危ないんだよね。
カレドニアガラスは道具を自作する
ニューカレドニアのカレドニアガラスは、道具を作ることで知られています。
朽木の穴の中にいるカミキリムシの幼虫を枝や葉を差し込んで釣りあげるのですが、その際、枝を釣り針型に曲げたり、葉をギザギザに加工したりして使用します。
この行動について、カレドニアガラスの若鳥は親鳥から道具の使い方を学ぶことが観察されています。
彼らは模倣と試行錯誤を通じて効果的な道具の使用方法を身につけます。
火を恐れない
焼き芋をしていたりすると、おいしい匂いに誘われてくるのか、たき火を見つめるカラスに出会うことがあります。
また、火の付いたロウソクをカラスが持ち去ったところも観察されています。
火を恐れず近づけるのは、知能の高さをあらわしています。
タバコを吸う(フリをする)
モルディブのカラスたちは、人間の隙をついてタバコを盗み、吸うことがあります。
吸うと言っても火を着けることはできないので咥えているだけですが。
人の行動に興味を持ち、真似をして遊ぶことも高い知能のあらわれと言えます。
単純に比較することはできませんが、人間に当てはめると4歳から6歳の子供と同等の認知能力を持っていると言われています。
お葬式
カラスが葬式を行うという話は、実際には行動学的な観察に基づいています。
カラスは非常に賢く、複雑な社会的行動を示す鳥です。いくつかの研究や観察によると、カラスは命を落とした仲間を囲んで集まることがあり、これが「葬式」と呼ばれることがあります。
しかし、これが人間の葬式のような儀式を意味するわけではありません。
ワシントン大学の研究者らは、カラスが亡くなった仲間の周りで集まる行動を観察しました。
彼らの研究では、カラスが仲間の亡骸を見たときに特定の警戒行動を示すことが明らかになっています。
この行動は、単なる好奇心や儀式的なものではなく、命を落とすに至った原因を学び、それらを回避するためのものだと考えられています。
烏に反哺の孝あり
からすにはんぽのこうあり。
反哺の孝とは、親の恩に報いて孝行すること。
成鳥になったカラスが養われた恩を返すために親烏にエサを運んでくる、という行動にちなんだことわざです。
とてもいい話ですが、この行動は実際には確認されてはおらず、単なるたとえ話のようです。
って感心してた気持ちを返してくれ 笑
カラスの進化と恐竜との関係
カラスは約2500万年前に現れたとされており、その高い適応能力と知能は長い進化の過程で発展してきたと考えられています。
彼らは世界中の様々な環境で生き残り、今日に至っています。
この進化の過程で、カラスは都市部や農村部など、人間の生活空間にも適応してきました。
人類の近くで生活することは、生存にとって最重要課題である「食料の確保」を容易にすると同時に、危険を察知して回避する能力を高めていくことになったと考えられます。
また、ヒクイドリのところでも説明していますが、鳥類は肉食恐竜(獣脚類)の生き残りです。
翼を持っているのに地面をノシノシ歩くカラスの後ろ姿って、なんとなくティラノサウルスのような肉食恐竜を彷彿とさせますよね。
カラスについてのまとめ
カラスはごみをあさることで知られ、都市部では公害となることもあります。この行動は、カラスが食物を探す際の一環であり、彼らの生存戦略の一部です。
自分たちの生活圏と人類の生活圏を交差させることで、食料の確保を容易にしているのです。
また、農作物への被害や鳥インフルエンザの媒介としてのリスクも指摘されています。
これらの問題は、カラスと人間の共存における大きな課題となっています。
これらの問題に対処するためには、カラスの生態をより深く理解し、適切な管理策を講じることが重要です。
カラスとの共存は、自然との共生を考える上で貴重な教訓を提供してくれます。
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