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チンパンジー:実は凶暴?進化の過程でヒトと違う道を選んだ類人猿

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チンパンジー
目次

チンパンジーの基本情報

  • 黒猩猩(くろしょうじょう)
  • 分類:霊長目ヒト科チンパンジー属
  • 主な生息地:アフリカの熱帯雨林およびサバンナ
  • 平均寿命:30年前後
  • 体長(直立時):オス約1.2~1.6m、メス約0.9~1.3m
  • 英語表記:Chimpanzee
ヒトとチンパンジーのサイズ比較

チンパンジーは、地球上で最も知的な動物の一つであり、人間に次ぐ高度な文化と社会構造を持ちます。

チンパンジーとヒトのゲノム(全遺伝情報)を比べてみると約98.8%が一致しています。
500~700万年前のアフリカで、進化の過程において人類の祖先が最後に分岐した類人猿がこのチンパンジーの祖先だと言われています。

ザ★ズー
98.8%?ほぼヒトじゃないの!
見た目はそこまで似ていないけどねぇ。

チンパンジーの知能と身体能力

チンパンジーは、豊かな表情と高度な社会性を持つ霊長類です。
彼らは非常に器用な手を使って道具を使い、食物を取ることができます。
また、オスとメスの間には明確な社会的地位があり、複雑な社会構造を築いています。彼らの表情や身振りは、感情や意思を伝える重要な手段です。

喜怒哀楽を表現

テレビ番組などでもよく紹介されている通り、チンパンジーには人間のような喜怒哀楽の表現があることが知られています。
家族の死を悼んで衰弱したり、じゃれ合いながら声を出して笑うこともあります。

笑うチンパンジー

状況に合わせて道具を使用できる知能

チンパンジーは必要に応じて道具を使用します。
人間のように道具を作成することはできませんが、身の回りにある自然物を臨機応変に活用しています。

  • アリ釣り:チンパンジーは棒をアリの巣に差し込み、その棒についたアリを食べます。この行動は、アリを効率的に収集するための知恵と技術を有することを示しています。
  • 木の実割り:いくつかのチンパンジーの群れは、硬い木の実を割るために石や木の枝を使います。彼らは適切な道具を選び、適切な力加減で木の実に打ち付ける技術を持っています。
  • 水の飲み方の工夫:葉や枝をスポンジやスプーンとして使い、水をすくい上げて飲むチンパンジーもいます。この行動は、水源が直接口に届かない状況での創意工夫を示しています。
アリをつかまえるチンパンジー

握力300キログラム!人類のギネス記録をはるかに上回る驚くべき怪力

チンパンジーの筋力は人間の約4倍から5倍と推定されています。

握力は更に強力で、人間の7~8倍(250kgwから300kgw)に達します
これはチンパンジーが木に登ったり、枝を握って移動する際に必要な力を発揮するためです。

ちなみにヒトのギネス記録は「人類最高の怪力男」マグナス・サミュエルソンによる192kgです。

ザ★ズー
”霊長類最強”というニックネームつけられてる人もいるけど、ゴリラやチンパンジーに勝てるわけがないよね(笑)
木の棒をもって猛るチンパンジー

狩りも抗争もするチンパンジーの凶暴な一面と生態

チンパンジーの行動パターンは多様で、20~100頭の群れを作って生活しています。
彼らは果物、葉、昆虫、小動物などを食べ、食物を見つけるために広い範囲を移動します。

コミュニケーション方法には、声、身振り、顔の表情などがあり、複雑な社会関係を構築しています。

肉食も!群れでおこなう狩猟行動

チンパンジーは果物や植物を好んで食べますが、タンパク質が必要なときや食料が不足すると、群れで狩りをおこないます。
また、社会的な結束を強める行為として狩りがおこなわれることもあるようです。

狩りは通常数匹から10匹程度の小グループでおこなわれ、小型のサルやイノシシなどが主な獲物となります。
彼らはグループで獲物を追い込んだり、木の上や地面で挟み撃ちにする戦略を取ります。

狩りの後、捕獲された獲物はしばしばグループ内で分配されます。これにより社会的な結びつきが強化されるとともに、特に地位の高い個体や、狩りに貢献した個体が獲物を分ける際の優先権を持つことが観察されています。

ザ★ズー
肉を食べるのはちょっと意外だったなぁ。
チンパンジーの集団に近付いてこられたらかなり怖いかも・・・
狩りをするチンパンジーの群れ

縄張りを巡る対立と苛烈な抗争

ジェーン・グドール(Dame Jane Morris Goodall)は、野生のチンパンジーの研究で有名で、彼女の研究はチンパンジーの行動に関する世界の理解を大きく深めました。
特に、彼女が報告したチンパンジーの縄張り争いに関する研究は非常に注目に値するものです。
以下にその主要な内容を要約します。

  1. 縄張り争いの発見: 1970年代初頭、グドールはタンザニアのゴンベ国立公園で研究を行っている間に、チンパンジー社会における縄張り争いを観察しました。これは、チンパンジーが組織的な暴力を行使することを示す最初の記録でした。
  2. 「ゴンベのチンパンジー戦争」: グドールの観察によると、ゴンベのチンパンジー集団が分裂し、2つのグループ(カサカエラとカーレ)間で縄張り争いが発生しました。この争いは、しばしば「ゴンベのチンパンジー戦争」と呼ばれます。
  3. 争いの性質: 争いは激しく、両グループのメンバーが互いに攻撃し、時には命を奪うまでに至りました。この争いは、数年にわたり続き、最終的にはカサカエラのグループがカーレのグループを完全に排除する形で終結しました。
  4. 社会的、行動的影響: この縄張り争いは、チンパンジーが単なる平和的な生き物ではなく、計画的かつ暴力的な行動をとることがあることを示しました。これは、人間の戦争行動との比較や、動物行動学における重要な議論の一環となりました。
  5. 科学的な意義: グドールの発見は、チンパンジー研究における重要な転換点となりました。それまでチンパンジーは比較的平和的な生き物と見なされていましたが、彼女の発見はチンパンジーの社会的複雑さと暴力的な側面を明らかにしました。

ジェーン・グドールの研究は、チンパンジーの行動、特に社会的な相互作用と暴力に関する見識を大きく変えたと言えます。
彼女の観察は、人間以外の動物における戦争行動の記録と、それに関する貴重な洞察を提供しました。

ザ★ズー
チンパンジーの「仁義なき戦い」だね。
競争や対立をするところも人間そっくり。

繁殖と子育て

チンパンジーの繁殖は、通年行われますが、社会的な関係によって異なります。

チンパンジーの子育ては、非常に手厚く、長期間にわたる特徴があります。以下に主な特徴をまとめています。

  1. 妊娠期間: チンパンジーの妊娠期間は約7.5ヶ月(約230日)です。
  2. 授乳期間: 生後4~5年間は母親による授乳が行われます。授乳期間は比較的長く、この間に仔チンパンジーは母親から多くを学びます。
  3. 子育ての期間: チンパンジーの子育て期間は長く、子供は5~6歳になるまで母親の強い保護下にあります。完全に独立するまでの期間は、種によって異なるものの、一般的に10歳程度とされています。
  4. 社会的学習: チンパンジーの子供は、社会的な学習を通じて生きるための重要なスキルを習得します。これには食物の探し方、道具の使用方法、コミュニケーションの技術などが含まれます。
  5. 遊び: 子供は遊びを通じて身体的な技能や社会的な交流を学びます。彼らは他の幼いチンパンジーと一緒に遊ぶことで、社会的な結びつきを育み、集団内の地位を理解することになります。
  6. 母子の絆: チンパンジーの母子間の絆は非常に強く、母親は子供を守り教育する役割を担います。母親は子供に対して非常に注意深く愛情をもって接します。
  7. 性成熟: チンパンジーは10歳から13歳の間に性成熟を迎えますが、母親から独立するまでは通常、繁殖に参加しません。

他の動物に比べて過保護で教育熱心なところは、人間にとても似ていて驚かされますよね。

チンパンジーの群れ

チンパンジーの進化

人間とチンパンジーは、共通の祖先からおよそ500~700万年前に分岐したと考えられています。
この祖先については、その正確な姿や特徴は未だ完全には解明されていません。

人間の祖先は直立二足歩行や大脳の発達など、独自の特徴を発展させながら進化して現代のヒト(Homo sapiens)へと至りました。
一方、チンパンジーの祖先もまた独自の進化を遂げ、現代のチンパンジー(Pan troglodytes)となりました。

ザ★ズー
チンパンジーと人類、ずいぶん差がついたもんだよね。
直立二足歩行して両手が自由になったことが決定的だったのかもね。

チンパンジーについてのまとめ

チンパンジーは、その複雑な社会構造、高度な知能、そして感情豊かな表現で、私たちに多くのことを教えてくれます。

喜怒哀楽を表現する親しみやすい存在ではありますが、観察・研究によって明らかになった「社会性・家族愛」と「暴力性・凶暴化」を併せ持つ姿は、本当に人類に近い存在であると証明されたと言えるかもしれません。

チンパンジーの動画はこちら

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