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絶滅危惧種のレベル

絶滅危惧種

絶滅危惧種の分類は、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストによって定められています。
レッドリストとは、絶滅の危機に瀕している野生生物種の状況を調査し、それぞれの種について現在の生息数、生息地の減少、狩猟や環境破壊などによる脅威の度合いを評価したリストです。

このリストは生物多様性の保全における重要な基準となっており、政策立案や研究の指針として広く利用されています。

目次

絶滅危惧種レッドリストにおける9つのレベルと定義

絶滅危惧種に分類されるレベルは、「危急(Vulnerable:VU)」から始まります。
このカテゴリーには、絶滅の危機に瀕してはいないものの、将来的にそのリスクが高まる可能性がある種が含まれます。
危急よりもリスクが高いカテゴリーには、「絶滅危惧IB類 (Endangered:EN)」と「絶滅危惧IA類 (Critically Endangered:CR)」があり、これらは直接的に絶滅の危機に瀕している種を指します。
したがって、絶滅危惧種として分類されるには、少なくとも危急(VU) に該当する必要があります。

以下に、主なカテゴリーとそのレベル定義を紹介します。

EX:絶滅 (Extinct)

絶滅種は、地球上の野生環境においてもはや存在しない生物種を指します。

絶滅に至る理由は多岐にわたり、自然災害、生息地の喪失、狩猟、環境汚染、外来種の侵入など、人間活動に起因するものが大半を占めています。
絶滅は最終的な結果であり、一度絶滅した種を復活させることは、現在の科学技術ではほぼ不可能です。絶滅種の例としては、ドードー鳥やタスマニアタイガーが有名です。
これらの生物の消失は、生態系のバランスに影響を及ぼし、他の種にも波及する可能性があります。
絶滅の進行を食い止めるためには、環境保護と生物多様性の維持に対する国際的な取り組みが不可欠です。

EW:野生絶滅 (Extinct in the Wild)

野生絶滅とは、特定の生物種が野生の状態ではもはや存在せず、飼育下や人工的な環境でのみ生存している状態を指します。

この状況は、その種が自然界から完全に失われたことを意味し、野生復帰プログラムによっても元の生息地への復帰が極めて困難な場合が多いです。
野生絶滅の主な原因には、生息地の破壊、過度な狩猟、環境汚染などがあり、これらは大抵、人間の直接的または間接的な活動によるものです。
野生絶滅の例には、ガビアルやシロサイの一部亜種などがあります。野生絶滅種の保全には、種の再導入や生息地の修復といった積極的な努力が必要です。

CR:深刻な危機 (Critically Endangered)

深刻な危機に瀕している種、つまり「絶滅危惧IA類 (CR: Critically Endangered)」に分類される種は、直ちに絶滅の危機に瀕しており、その生存が極めて不確かな状態にある生物種です。

これらの種は、生息数が急速に減少している、生息可能な地域が極端に限定されている、またはその両方の特徴を持っています。
深刻な危機に瀕する主な理由には、違法な狩猟、生息地の破壊、気候変動による生態系の変化などがあります。
この段階の種に対する保護活動は、即座にかつ効果的に行われる必要があり、その中には、繁殖プログラムの実施、生息地の保全、法的保護の強化などが含まれます。
ジャワサイやアムールヒョウは、このカテゴリーに分類される典型的な例です。

EN:危機 (Endangered)

危機に瀕する種、または「絶滅危惧IB類 (EN: Endangered)」に分類される生物種は、生存に対する脅威が高く、もし現在の傾向が続けば、近い将来に絶滅の可能性がある種です。

この状況に至る主な要因には、生息地の大幅な減少や破壊、人間による過剰な狩猟や捕獲、汚染、外来種の侵入などがあります。
絶滅危惧種として指定されることで、これらの種は国際的にも注目され、保護対策が講じられることになります。
保護活動には、自然保護区の設定、繁殖プログラムの支援、地域コミュニティとの連携による保全努力などが含まれます。
例えば、アジアゾウやマダガスカルのキツネザルなどがこのカテゴリーに含まれます。

VU:危急 (Vulnerable)

危急種、または「絶滅危惧II類 (VU: Vulnerable)」に分類される種は、現在は直接的な絶滅の危機には瀕していないものの、将来的にそのリスクが高まる可能性がある生物種です。

これには生息数の減少、生息地の質的・量的な劣化、遺伝的多様性の低下などが挙げられます。
危急種の保護には、生息地の管理や保全、持続可能な利用の推進、教育・啓発活動などが重要とされています。
これらの努力により、種の減少傾向を逆転させることが期待されます。
ゾウギンウミヘビや一部のサメ種類がこのカテゴリーに該当します。


NT:準絶滅危惧 (Near Threatened)

準絶滅危惧種とは、現在のところ絶滅危惧種の基準には至らないものの、将来的に絶滅危惧種に分類される可能性がある生物種を指します。

これらの種の保護状態は、人間活動や自然環境の変化によって容易に悪化する可能性があります。
準絶滅危惧種に対する保護活動には、生息地の保全や復元、環境教育プログラムの実施などが含まれます。
例として、多くの鳥類や一部の哺乳類がこのカテゴリーに含まれることがあります。

LC:低懸念 (Least Concern)

低懸念種は、絶滅リスクが最も低いと考えられる生物種です。

これらの種は広範囲にわたって生息しており、個体数も安定しているか、増加傾向にあると評価されています。
しかし、低懸念種であっても、生息地の変化や未来の脅威に対して無敵ではないため、生態系全体の保全には引き続き注意が必要です。
低懸念種の例には、一部の鳥類、魚類、哺乳類が含まれますが、これらの種に対する保護措置や生息地の管理は、生物多様性の維持と持続可能な環境への取り組みにおいて依然として重要です。
地球上の多くの生物種がこのカテゴリーに属しているため、人間による影響を最小限に抑え、自然保護区の設立や環境保護法の強化など、生態系を守るための努力が求められます。

DD:データ不足 (Data Deficient)

データ不足種は、十分な情報がなく、絶滅リスクを評価できない生物種を指します。

これらの種に対する情報が不足しているため、保護状態が不明であり、潜在的な脅威やリスクを正確に判断することができません。
データ不足種に対する研究と監視は、その保護状況を理解し、適切な保全戦略を立てるために不可欠です。
科学者や保全団体は、これらの種の生態、分布、個体数のデータを集めるための調査を行っています。
例えば、一部の深海生物や極地域に生息する種など、未調査の生物種がこのカテゴリーに分類されます。

NE:未評価 (Not Evaluated)

未評価種は、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、まだ評価されていない生物種を指します。

これらの種は、データの不足や評価プロセスの初期段階など、様々な理由で正式なリスクカテゴリーに割り当てられていません。
未評価種に対する評価は、その生態系内での役割や保護上の優先順位を理解する上で重要であり、全世界の生物多様性の保全に貢献します。
継続的な調査と研究により、これらの種の保護状態を明らかにし、必要に応じて適切な保全措置を講じることが可能になります。

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