アフリカゾウの基本情報
- 象
- 分類:長鼻目ゾウ科アフリカゾウ属
- 主な生息地:サハラ砂漠以南のアフリカ大陸
- 平均寿命:60~70年
- 体長:6~7.5m
- 体重:オス5,000~7,000kg、メス3,000~4,000kg
- 英語表記:African elephant
アフリカ大陸に生息するアフリカゾウは、地球上で最大の陸生哺乳動物です。オスの方が大きく育ち、体重が10トンを超す個体も存在しています。
知能が高く感情が豊かで、人の言葉を聞き分けると言われています。
アフリカゾウにはサバンナゾウとマルミミゾウの2種が存在し、マルミミゾウはサバンナゾウに比べてやや小型で耳介が丸型になっているのが特徴です。
ここでは、従来「アフリカゾウ」と呼ばれていたサバンナゾウについて解説します。
アフリカゾウの生態と食性
アフリカゾウは主にサバンナ、森林、湿地など、多様な環境で生活しています。
集団生活とオスの独立
年長のメスを中心とした10~20頭の家族で群れを形成していることが多く、成熟したオスは基本単独行動をしています。
オスは繁殖期になるとメスの群れを探し、合流して子孫を残そうとします。
メスの妊娠期間はおよそ22か月です。
オスの子どもたちは、12~15歳になると群れから離れ、大人(成獣)になるまでさらに5年ほどかかります。
天敵なんているの?
子どものうちはライオンやワニに狙われることもあるようですが、皮膚が硬く体の大きなアフリカゾウの成獣に天敵はいません。
強いて挙げれば、環境を破壊し、象牙を奪うために密猟をする「人類」が天敵ということになります。
どれくらい食べるの?
彼らは非常に食欲旺盛です。
主に草・葉・枝などを食べ、一日に150~300キログラムの食物を摂取します。
また、水も一日に100リットル以上飲むことがあります。
ゾウの墓場は実在するのか
ゾウは死期を悟ると群れから離れ、「ゾウの墓場」とよばれるところに向かうと言われています。
とてもロマンチックな話ですが、これは都市伝説であり実際に確認された事実はありません。
ゾウの亡骸がサバンナで見つからないことから語られるようになった伝説のようですが、ゾウに限らずハイエナやハゲワシなどによってきれいに食べられ、骨は風化していきます。
また、古代に存在した象の骨や牙の化石が積み重なっていたことがあり、それによって「ゾウの墓場」伝説ができたとも言われています。
アフリカゾウとマンモスってどんな関係?
マンモスは太古の地球に存在した、象に酷似した生物。約400万年前から1万年前頃までの期間に生息していたと言われています。
マンモスというと大きな生き物の代名詞のようになっていますが、一般的に「マンモス」と呼ばれるケナガマンモスはアフリカゾウよりやや小さめです。
ケナガマンモスはアフリカゾウよりアジアゾウに近い
米ペンシルベニア州立大学ステファン・シャスター氏の研究チームは、永久凍土から発見されたマンモスの毛をもとにゲノム解析をおこない、ケナガマンモスとアジアゾウのDNAには99.4%の一致があるという結果を発表しました。
これは非常に類似していると言われている人間と類人猿(特にチンパンジー)のDNA一致率98.8%よりも高い数値です。
人間と類人猿の関係と同じ様に、アジアゾウとケナガマンモスは進化の過程で共通の祖先から分岐したということを示唆しています。
実はケナガマンモスより誕生が古い!アフリカゾウは「生きている化石」
アフリカゾウ(サバンナゾウ)は、アジアゾウ・ケナガマンモスとは別のルートで進化しています。
アジアゾウの祖先とアフリカゾウが分岐したのは500万年~700万年前といわれており、アジアゾウとケナガマンモスはその後に分岐しています。
つまり、アフリカゾウはすでに絶滅したケナガマンモスより古くから存在していたということになります。
密猟とアフリカゾウの危機
アフリカゾウが直面する最大の脅威は密猟です。彼らは象牙のために狩られ、その数は過去数十年で劇的に減少しました。
ワシントン条約による国際的な取引禁止措置にもかかわらず、違法な象牙貿易は依然として存在しています。
保護活動とその課題
アフリカゾウの保護に向けた取り組みは多岐にわたりますが、資金不足、地域社会との協力不足、法執行の弱さなど、多くの課題に直面しています。
地域住民との連携、教育活動、保護区の管理強化が急務です。
しかし、一部地域の住民にとってアフリカゾウは身近で生活を脅かす存在でもあります。
作物を食い荒らし、時には人間に危害を加えることもあるため、住民の理解を得ることは簡単ではありません。
アフリカゾウについてのまとめ
アフリカゾウは、その巨大な体躯と社会的な性質で知られています。しかし、彼らの存続は人間活動によって脅かされています。
特に、象牙を目的としたアフリカゾウの密猟は個体数減少の主な要因とされています。
密猟の防止、生息地の保全、地域社会との協力強化により、アフリカゾウの未来を守ることができるのです。
ただし、近隣に暮らす住民たちとも適切に棲み分けする必要がありますが、その巨体の侵入を止める方策はいまのところ爆竹で驚かす程度。
アフリカゾウと人間の共存にはまだまだ課題が残っているようです。
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