ジャイアントパンダの基本情報
- 大熊猫
- 分類:哺乳綱食肉目クマ科ジャイアントパンダ属
- 主な生息地:中国中央部の山岳地帯
- 平均寿命:野生で20年、飼育下で30年以上
- 体長:1.2m~1.8m
- 英語表記:Giant Panda
ジャイアントパンダは、ぬいぐるみのようなアイコニックでかわいい白黒模様の姿が世界中から愛されています。
WWF(世界自然保護基金)の象徴としても知られています。
ジャイアントパンダの特徴
ジャイアントパンダは、その愛らしい外見と独特な生態で知られています。
特に目立つのは、その大きな丸い顔と黒い瞳、黒と白のコントラストが際立つ毛色です。このカラーリングはパンダを森林の中で隠れやすくするためのものと考えられています。
また、竹を主食とすることで知られており、竹を手づかみするその食事方法もユニークです。
ジャイアントパンダは非常に特異な食性を持ち、99%以上を竹で占める草食性の食生活をしています。彼らは1日に約12時間を食事に費やし、主に竹を食べますが、ごくまれに他の植物や小さな生き物を食べることがあります。
睡眠時間は一日8?10時間程度。
一日の大半を食べるか寝るかという時間に充てているとてもスローライフな動物です。
お母さんに怒られるやつだ。
ジャイアントパンダの生態と個体数が少ないわけ
なんだか意外ですが、ジャイアントパンダは縄張り意識が強い動物です。
各個体は、数平方キロメートルに及ぶ自分の縄張りを持ち、これをマーキングして他のパンダとの領域を明確にします。
彼らは通常、他の個体との直接的な接触を避ける傾向にありますが、繁殖期にはオスがメスの縄張りに侵入して交配を試みることがあります。
また、パンダは縄張り内で移動しながら食料を探すことが多く、特に竹林の中を好んで移動します。
縄張り内には飲水地や休息場所、そして食料資源が含まれていることが一般的です。
自然環境では比較的地上生活を好みますが、木登りも得意です。
コミュニケーションは主に匂いを用いて行われ、他のパンダに自分の存在や縄張りを知らせるために木に臭いを付けます。
繁殖期が短く、個体数が増えにくい
ジャイアントパンダの繁殖は非常に困難で、野生下では繁殖期が一年の間にわずか2~3日しかありません。
メスは2年に1回程度しか出産しないことが多く、妊娠期間は約135日で通常は1匹の仔を産みます。
- 繁殖期: ジャイアントパンダの繁殖期は限られており、通常は春(3月から5月)に起こります。この期間、メスはわずか2?3日間だけ排卵し、その間に妊娠の可能性が最も高くなります。
- 繁殖行動: 繁殖期になると、オスのパンダはメスを見つけるために長距離を移動することがあります。メスが排卵する期間が非常に短いため、オスはこの限られた時間内に繁殖を試みます。
- 妊娠と出産: 妊娠期間は約95から160日ですが、ジャイアントパンダは「遅延着床」と呼ばれる現象を示すことがあります。これは受精卵が一時的に発達を停止し、数週間から数ヶ月後に子宮壁に着床することを意味します。これが実際の妊娠期間の予測を難しくさせています。
- 赤ちゃんの成長: 生まれた赤ちゃんパンダは非常に小さく、体重は約100g程度です。彼らは母乳を飲みながら生後数ヶ月で急速に成長していきます。仔パンダは約1年半から2年間母親と一緒に過ごした後、独立します。
中国のパンダ外交
中国によるジャイアントパンダの貸し出しは、国際的な外交政策と種の保護を組み合わせた独特な取り組みです。
この「パンダ外交」と呼ばれるプログラムは、中国が他国との友好関係を築くためにジャイアントパンダを貸し出すというものです。
パンダ外交の歴史
パンダ外交は、1950年代後半に中国が他国にジャイアントパンダを贈与することから始まりました。
当初は主に同盟国や友好国にパンダが贈られていました。
初来日とパンダブーム
日本に初めてパンダが来たのは、当時の田中角栄首相によって中国との国交が正常化した1972年。
日中友好の証しとして、中国側から無償提供されたのがオスのカンカン(康康)とメスのランラン(蘭蘭)の2頭のジャイアントパンダでした。
空前のパンダブームが起き、パンダを一目見たい人々で上野動物園には長蛇の列ができましたが、寝てばかりいてなかなか姿を現さないジャイアントパンダ。
カンカンとランランの姿をまったく見ることができないまま帰って行く人たちが続出しました。
1980年代以降、中国はパンダを贈与するのではなく長期貸出しする形式に移行しました。
貸し出しの条件と目的
- 貸し出しは通常、10年契約で行われ、更新が可能です。
- 受け入れ国は年間約100万ドルの費用を支払うことが一般的です。
- 繁殖に成功した場合、生まれた仔パンダは中国の所有となり、中国に返還されます。
- 支払われた費用は、ジャイアントパンダの保護と研究に使用されます。
- 貸し出しの目的は、国際的な保護協力を促進し、パンダの研究を深めることにあります。
だから生まれた子どもを中国に返還したのか。
国際的な反応
このプログラムは一部で政治的な意図を持つと見なされることがありますが、一方でジャイアントパンダの保護と研究に対する重要な貢献とも評価されています。
受け入れ国では、パンダは大きな人気を博し、野生生物保護への関心を高める効果があります。
この取り組みは、外交的な手段としてだけでなく、絶滅危惧種であるジャイアントパンダの保全に向けた国際的な協力の一例としても重要です。
ジャイアントパンダの進化について
ジャイアントパンダは竹主食の生活に適応するため、強力な顎と「疑似拇指」とも呼ばれる特異な手首の骨を発達させています。
手のつくりは5指すべてが横並びなのですが、この6本目の指とも言える親指のような骨のおかげで、食物である竹をつかんで食べることができるようになっています。
ジャイアントパンダの祖先は現代のパンダとは異なる食性を持ち、より大型の肉食動物であったと考えられています。
現在のジャイアントパンダは主に竹を食べる草食動物ですが、その消化器官は肉食動物の特徴を多く残しています。
科学的な研究によると、パンダの祖先は数百万年前に肉食から草食へと食性を変化させました。この変化は、竹林の広がりとともに起こったと考えられています。
パンダの歯や顎の構造は肉を食べるのに適していましたが、時間の経過とともに竹を効率的に噛み砕くことができるように進化しました。
ジャイアントパンダにもっとも近い種は、植物を好んで食べるヒマラヤンブラックベアやアメリカンブラックベアとされています。
ジャイアントパンダについてのまとめ
ジャイアントパンダについて、個体数が増えているという噂は聞こえてきますが中国政府からの正式な発表はここ数年されていません。
最後に確認できた情報によると、2015年頃に1,864頭が確認されているようです。
絶滅危惧種レベルの引き下げ
保護活動の成果を受けて、2016年に依然絶滅危惧種のレベルがEN(危機)からVU(危急)に引き下げられました。
依然として絶滅危惧種ではありますが、とりあえずの危機は脱したということになります。
ジャイアントパンダは中国政府によって強固に守られ管理されているため、密猟による個体数減少の心配はほぼありません。
他の絶滅を危惧された動物たちと違い、人間の欲望によって絶滅する可能性というのは低いのだろうと考えられます。
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